【射水市】株式会社山本|AIに代替されない今後残り続ける解体業の働き方とは
富山県射水市に、建物の「終わり」を次の価値の「始まり」へとつなぐ集団がいる。株式会社山本だ。解体工事と産業廃棄物の収集運搬を主軸とする同社の仕事は、決して華やかなものではない。しかし、AIには代替できない強固な「現場力」を必要とする、社会に不可欠なピースだ。
代表取締役の山本貴禎氏への取材を通じ、高水準の待遇や「残業ゼロ」の裏側にある合理的な仕事哲学を探った。
1. 解体とは「未来へのスタートライン」を引くこと
まず、山本氏が語る解体業の定義は、一般的なイメージとは少し異なるものだった。
木下「株式会社山本さんは、具体的にどのようなお仕事をする会社なのでしょうか?」
山本氏「主に解体工事と、その解体工事で出てきた産業廃棄物の収集運搬をする会社です。住宅や商業施設の建て替え、リフォームに際して、一度壊して更地にする。新しい土地利用や再生の第一歩を担う仕事ですね」
建物をつくる工程に注目が集まりがちだが、その前段には必ず「壊して整える」工程がある。山本氏の言葉からは、解体業が建設の周縁ではなく、むしろ再出発の起点を担う中心的な存在であるという自負が伝わってくる。
2. 「入社翌日から現場」が、最速の成長を生む
未経験からこの業界に飛び込む不安に対し、山本氏は「現場主義」という明確な答えを提示した。
木下「新卒で入社した場合、最初はどういった仕事から始まるのでしょうか?」
山本氏「入社した翌日ぐらいからは、もう現場ですね。もちろん最初は経験者の職人の手伝いや片付け作業からです。壊す作業自体は経験を積まないと無理やと思いますが、まずは現場に出て、先輩の動きを見ながら覚えていく形になります」
座学で時間を費やすのではなく、最短距離で現場感覚を身につける。もちろん、最初から危険な作業を任せるのではなく、補助から段階的にステップアップしていく仕組みが整っている。
3. 「高卒初任給25万」という、誠実なリアリズム
今回の取材で最もインパクトがあったのが、待遇面の話だ。山本氏は、仕事の負荷に対する対価を曖昧にしない。
木下「給与水準が高いと伺っていますが、どのようにお考えですか?」
山本氏「現場で体を動かす仕事はやっぱりきついですから、それなりの給料がないと続かない。目一杯のことをしています。高卒の新卒でも、月給25万円からスタートです」
学歴ではなく、現場での姿勢と継続を評価する。精神論で誤魔化すのではなく、仕事の厳しさに報いる報酬を出すという姿勢は、プロとして生きていこうとする若手にとって非常に力強い。
4. 「残業ゼロ」を実現する、構造的な合理性
建設・解体業界では珍しい「残業ゼロ」についても、単なるスローガンではない納得の理由があった。
木下「残業がゼロというのは、本当なのでしょうか?」
山本氏「はい。そもそも、物理的に仕事ができないんです。廃棄物の処理施設が5時に閉まってしまうので、逆算すると5時前には現場を出なければならない。また、大きな音が出る仕事ですから、5時以降に作業をすれば近隣の迷惑になります。だから、残業は発生しません」
周辺環境や物流の仕組みといった「制約」を、そのまま「効率化」へとつなげる。限られた時間の中で最大の成果を出すというチーム文化は、こうした環境から生まれている。
5. AIに代替されない、唯一無二の「職人の手」
ITやAIの進化が叫ばれる現代において、山本氏は解体業の未来をポジティブに捉えている。
山本氏「解体は、今のAIとかが使えない業種やと思います。一棟ごとに条件が違う現場で重機を操る仕事は、簡単に置き換えられるものではない。一生モノの『手に職』になるはずです」
同時に、若手には「SNSでの情報発信」といった、ベテランにはない新しい感性での貢献も期待しているという。伝統的な職人仕事に新しい武器を組み合わせようとする、柔軟な姿勢が印象的だ。
6. 性別も学歴も関係ない。「仲良くやれる」チームへ
最後に、社内の雰囲気と採用方針について伺った。
木下「社内コミュニケーションや雰囲気はいかがですか?」
山本氏「毎年、社員旅行で韓国や沖縄に遊びに行ったり、バーベキューをしたり。みんなで仲良くやれとればいいかなと思っています。また、学歴は一切気にしませんし、やる気があれば女性も大歓迎です。実際に今も現場に出ている女性がいますよ」
解体業という無骨なイメージの裏側に、チームワークと相互信頼を大切にする温かな土台がある。









